ソーシャルスキルトレーニングの事をお話をしたいと思います。
ソーシャルスキル指導で特に大切なことは
子ども自身が、ソーシャルスキルを学ぼうという意識(意欲)を持つことだと思います。
自分が何かにつまずき、どんなことで困っているのか、その為にどのようなソーシャルスキルが必要なのか、そして、それを身につけるために、どのような指導を受けて、どのような活動を行えばよいのかということを、子ども本人、保護者、指導員、関係機関等で共通認識できていることが重要だと思います。 必要性を明らかにする為に苦手な事、不得意なことばかりを取り上げ強調してしまうと、自尊感情を損なって自己否定的な考え方をするようになってしまいます。
そうならないよう苦手な部分と同時に、得意なことや長所にも焦点を当てて、得手不得手の自己管理を深めさせるようにします。その上で上手くいかない部分を改善する為に、ソーシャルスキルが必要であることを身に付けば、物事がスムーズに運ぶようになると私は思います。
子どもが身勝手な行動をとる要因には、正しいソーシャルスキルを身につけていないことがあります。たとえば、友達に何かを借りるとき、むしり取るような身勝手な行動をするのは、不適切なソーシャルスキルを学習した結果です。このような子どもは、「何々を貸して」とやさしく言うなど適切なソーシャルスキルを学習すれば、円滑な人間関係を新たに築くことができます。
表現のしかたは学習することもできます。
たとえば、「上手な聞き方」は、スキルのポイントとして「やっていることをやめる」「体を相手に向ける」「相手の目を見る」「うなずきながら聞く」といった行動レベルで観察していきます。
ソーシャルスキルにつまずきをもつ子どもは、言葉やしぐさ、或いは表情などで気持ちを表現することを苦手とすることが多くみられます。ひとつの行為を分解して行動レベルで学習していくと浸透しやすくなります。
○ソーシャルスキルの学習の要素として5つあります。
①インストラクション
これからどんなスキルを学ぼうとしているのか、スキルを身につけることがどうして大切なのかを、子どもたちの話し合いで確認します。子どもたちの「よし、やってみよう!」という意欲を高めるには、紙芝居や劇を見せたり、視覚からの情報など個々の特性に合わせたアプローチをします。
②モデリング
手本をとおして、子どもたちにそのスキルを学習させようとすることをモデリングといいます。つまり、手本となる人物(指導員や友達)のまねをすることで学ぶのです。
モデリングでは、悪いスキルとよいスキルの2種類のスキルを見せると、子どもたちは具体的に違いがわかり、学習しているスキルのポイントを把握しやすくなります。
③リハーサル
リハーサルとは、子どもたちがロールプレイをとおして学習したスキルを、具体的な場面にして実際にやらせてみることです。頭ではわかっていても、実際にやってみるとなかなか思ったようにできないものです。
ソーシャルスキル学習で一番大切にしたいのが、このリハーサルです。何度も相手を替えて練習することで、スキルが身についていくことを実感できるようになるでしょう。ロールプレイは会社の新人研修などでもよく行われています。
④フィードバック
「○○さんが今やった“上手な聞き方”は、相手の目をしっかりと見て、うなずきながら聞いていたので、とても良かったと思うよ。」
このようにフィードバックとは、実際に子どもがロールプレイで行ったスキルに対して、どんなところがよかったか、また、どうすればもっとよくなるか、といった評価をすることです。
その際の留意点は、肯定的な評価をする事で何か一つでもうまくできた点を認めて「どこがよかったのか」を伝える事です。
つまり、フィードバックする言葉かけそのものが、実際にロールプレイを行った子どもの意欲を向上させる手立てになっていると言えます。そして、それがスキルの強化につながるのです。
言葉でほめたり、スキンシップ(頭をなでる、握手する、拍手する、ほほえむ、うなずくなど)をして、さらにスキルを強化します。
⑤定着化
学習したソーシャルスキルは、日常生活で使われることで定着します。学習したスキルを遊びやゲームにとり入れたり、意図的に使う場面を設定するなどしましょう。スキルを定着させるうえで、自由遊びも大切です。そして、指導員やお友達がほめて、認めてあげることは重要なポイントになります。
以上がホップステップで実際行っている支援の一部です。今後も新しい情報を入手しながら、職員一同、共有をはじめ良い支援が出来ればと思っていますので、至らぬ点があるかも知れませんがよろしくお願いいたします。